本当は自分も、と名乗りあげるべきなのだろうけど。




恐怖が僕の衝動を食い止める。此処から先に、僕は行けない。



「そっ・・か。此処で僕も行く、と言えばひどくドラマティックな話になったろうけど」



「其れを求めているわけではないからね。それに僕が密を連れ出そうとした理由は本当にちっぽけなんだ」



「どんな?」



「ただ・・寂しくて。一人で行くのが」



誰も踏み入れた事のない世界に一人旅立つ勇気。
それは、一時の感情に振り回され為してしまった事を受け入れる勇気とどちらが重いのか。
天秤の針はずっと、揺れたまま。



止まった瞬間にヒトは崩れ落ちてしまう。



「一人とは、誰もが恐れる唯一の存在である。故に一人と読む。少し哲学じみた考え、だけど兄の言葉なんだ」



「素敵だね。そうやって言葉にするのも難しいはずなのに」



「きっと、これが兄の言葉で無かったとしても惹かれていた気がするんだ」



「実を言うと、今、密と関わりあった事を少し後悔している。悪い意味ではなく」



「ではどういった意味?」



「暖かい、優しいものに触れてしまうと、冷たい、厳しいものをより一層感じてしまうから」



君が差し伸べた傘に手を触れなければ良かった。






Can I become fortunate in the following tale?

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