雨が止むまで此処にいようと思ったのに。
「濡れるよ?少年」
差し伸べられた傘は濡れる事を許してくれなかった。
「誰?」
「通りすがりの学生サン」
「見れば、分かる」
「じゃあ聞かないでよ」
そうやって笑った。
空から雨は絶え間なく零れていて、辺りはひどく暗いのに。
少し、明るく見えた。
だって現に彼の顔ははっきりと捉える事が出来るから。
「傘も持たずにどこへ?」
「あなたとの関係は?」
「雨の中道端で血を流しながら蹲る少年と、その少年に傘を差し伸べる心優しい学生」
「・・・他人」
「少しシンプルすぎるね」
また、笑った。
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