濡れた服が身体に張り付いて気持ち悪かった。
「僕とあなたは他人だ。行く先を話す義務も、僕に傘を差し伸べる必要性もない」
「血を流しながら歩く少年を見過ごす人間にはなりたくないんだけど?」
「どうして、この暗い中血を流しているなんて分かる?」
「だって、君が光って見えたんだもの」
戯言を。
光る?人が?まさか、ありえない。
でもさっき自分だって彼が光って見えた。
仕方無しに立ち上がった。
「あなたが、濡れる」
「僕は平気だよ」
「僕は平気じゃない。あなたと同じ、濡れてる人間を見て自分だけ温まるなんて出来ない」
「・・・傘は狭いね。もし良ければ家へどうぞ?」
「お邪魔する理由がない」
「理由なんて、お茶が飲みたいから、で良いじゃないか」
濡れた顔が泣いてるかのようだった。
薄ぼんやりとした視界にうつる物は本物なのだろうか。
「お茶が、飲みたい」
Can I become fortunate in the following tale?
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