しん、と静まりかえった部屋は外よりもひどく暖かかった。
「お茶は何が好き?」
「・・・やはりいらない」
「飲みたいんだろう?」
「・・・紅茶」
「美味しいのがある」
明るみで見る彼は綺麗な人だった。
容姿も、心も。
透明なひと。透き通ったあなたは見られるのが怖くないのですか。
「寒くない?」
「平気」
「少し、膿んでる。一応処置はするけど、病院に行った方が良い」
「いらない、お茶を頂いたら帰る」
「「どこへ?」」
目の前であなたが、心の中で僕が、
同時に言った。
どこに帰ると言うのか。
帰るってなんだろう。
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